第34話 当たり前のことができない。
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糖尿病奮闘記
~ 30歳で糖尿病になり、インシュリン注射をしている男の奮闘記 ~
2006/10/16 vol.0034
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こんにちは。
30歳で糖尿病と診断され、32歳でインシュリン自己注射を
するようになった『はしもと』です。
「パパぁ~、なんかいる~」とお菓子をねだる娘。
時間は午後3時。おやつの時間。
ちらっと奥さんの表情を見る。
奥さんがOKのサインを出したのを確認する。
「よし、おせんべい食べよっか?」とわたし。
「やった~、やったぁ~!!」と喜ぶ娘。
二人で台所へ向かう。
お菓子は娘が取れないよう、食器棚の一番上の棚に置いている。
しかし娘はお菓子の場所を知っている。
娘が食器棚まで走っていき、お菓子がある棚の前で止まった。
「パパぁ~、はやくぅ~!!」とニコニコ顔の娘。
食器棚のとこまで辿り着き、食器棚を勢いよく開ける。
その瞬間・・・、
ゴン!!と鈍い音がなる。
一番上の棚にあるお菓子に目をやっていたわたしが下を向く。
ニコニコ顔だった娘の表情が一変する。
食器棚の扉が娘の頭を直撃。
1秒置いて娘が泣き出す。
楽しいはずのおやつの時間が修羅場とかす・・・
「つい最近まで、背が食器棚の扉には届かなかったのに」
「娘も大きくなっているんだ」と泣いてる娘の横でわたしは微笑む。
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■当たり前のことができない。
娘にとっては痛い出来事なのですが、
わたしにとっては娘の背が伸びていることを実感できた出来事です。
娘も大きくなっている。そんな充実感を満喫していました。
しかし、先日の娘の運動会で他の園児と遊戯を待っているは娘は
おなじ2歳児のクラスの中で背が1番目か2番目ぐらいに低かったのです。
その姿をみたわたしは娘が大きくなっているという喜びも半減し、
ひょっとしたら娘の成長は他の子より遅いのではないかと不安を抱きました。
「娘の成長」。これは紛れもない事実です。
家の中だけで実感した娘の成長と他人と比較した娘の成長。
家の中で感じた成長には大喜びをし、しかし運動会では不安を抱きました。
同じ出来事で感じ方はまったく正反対です。
実は、わたしはこの感じ方をうまく利用して、糖尿病を悪化させました。
それはいろいろあるのですが、例えば「締めのラーメン」です。
糖尿病にとって、いっぱい飲んだ後のラーメンは自殺行為です。
糖尿病に対する認識が甘かった当時のわたしは、
「ラーメン食べないほうがいいよな・・・」という正しい思いと、
「みんなも食べるから大丈夫よな。うん、大丈夫だ!!」と思い、
結局はみんなと一緒にラーメンを食べてしまうのです。
「他の人が食べているから大丈夫」
結構、この考えがわたしの病状を悪化させてしまったのは事実です。
自分の身体と他人の身体を比べてはいけない。
当たり前のことができなかった。それが今となっての後悔です。
━━ 今回の格言 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
都合のいい方に考えるのは時として不幸を招く
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■編集後記
先週、医学の進歩を紹介したいと思い、京都大学医学部付属病院の先生と
メールと電話でお話をさせていただく機会がありました。
そこで痛烈に感じたのが、この先生は糖尿病患者の気持ちをとても理解さ
れ、広い視野で糖尿病を考えられているということです。
このような先生がいる限り、まだまだわたしは希望の光を持ち続けようと
思いました。
(書いた記事)
希望の光
糖尿病SNS・DMサークル | いま、糖尿病奮闘記は何位?
更新日 : 2006年10月19日 22:55